EURO2008~フランス編~

 

3:パリ市内駆け足観光

その5:便利なメトロ Métro de Paris

パリの市内観光を効率よく行おうと思えば、やはりメトロが便利です。
パリには他にバスなどもありますが、メトロのほうが簡単。
半日も乗ればコツも覚えられますし、主要な場所へは殆ど行けます。
駅の数も多く、10分ほど歩けば隣の駅に着いてしまうほど。
5~10分に1本くらいの割合で頻回に来ます。
入口のデザインは駅によって様々ですが、「METRO」と書かれているので、すぐわかります。

 

券には数種類あります。
1回券なら、駅にあるこの券売機で購入します。
でもねー、この機械めちゃくちゃわかりづらい。
英語の案内もあるのですが、それでもわかりづらい。
戸惑って時間がかかると、後ろに人がたくさん並んだりして
やたらプレッシャーがかかることもあります。
私が慣れていないだけかもしれませんが。

 

このマークはRATP(パリ交通営公団)のマークなのですが、
街中でこのマークを掲げている煙草屋さんを見かけます。
そこでも券は買えます。
私自身は買ったことがないので、どのように買うのか不明。
フランス語しか通じない場合もあると思います。

 

いちいち券を買うのは面倒なので、私はパリヴィジットを購入。
これは何度でも乗り降りできる券で、短期間の定期のようなもの。
1,2,3,5日券があります。これは連続使用が原則となっています。
ゾーンや日数によって価格が変わります。
多少割高にはなりますが、乗り倒してあちこち行きたい人にはいい。
これは旅行者用の券なので、購入時にはパスポートが必要です。
詳細はこちらをご覧ください。買う場所なども限定されています。

 

これがパリヴィジット。真ん中の小さい券がそうです。
元がとれないこともあると言いながらも、
私はたった2日間であちこち飛び回ったので、
やはりこのようなパスは楽でした。
時間をお金で買ったと思えば、安いものかもしれません。

 

欧州などでは駅は公共の場所ということで、
切符を買わずとも構内に入れる場合が多い。
しかし、メトロは別です。頑丈すぎるほどの改札がある。
ホームレス対策なのかなあ。確かにメトロは暖かい。
この自動改札を通って、中に入ります。

 

駅には必ずこういう路線図が貼ってあります。
これはRERなども含めた路線図ですが、メトロのみのものもあって、
大体2枚並んで貼られています。メトロのみのほうが、見やすいかも。
この路線図で、自分の行きたい駅を見つけたら、その路線の終点を探します。
「○○行き」というのは、すべて終点で表示されているからです。
乗り換えの駅なども確認して、その乗り場へ。
またメトロでは入口と出口が別の場合もあるので注意。sortieとは、出口のことです。

 

最初は戸惑うかもしれませんが、一度コツを掴めば簡単。
乗りなれると、とても便利です。
ホームにはたくさんの広告が展示されていますが、
どれもとても大きい。
日本の地下鉄よりもホームは小さいです。車両自体も短め。
車両から車両へは、一度電車を降りないと移動できません。

 

ホームには飲み物の自販機があったりしますが、これ要注意です。
おつりが出てこなかったり、入れたお金がカウントされなかったりw
日本の自販機では考えられないことが起こることがあります。
以前もやられたのに、学習能力のない私は
今回も1ユーロ寄付してしまいました。
勿論、毎回そうなるわけではないですよ。確率まではわかりませんが。

 

時々メトロにはこのような芸人さんが乗り込んできて、
演奏していくことがあります。
フランスってなぜかアコーディオンのイメージですが、
実際こういう芸人さんが演奏するのも
アコーディオンが多いようです。

 

今回の旅行で驚いたのは、メトロがとてもきれいになっていたことです。
以前来た時は、駅によってはホームにゴミが山積みでした。
このような通路も、端のほうにはゴミがたくさんあったのです。
前回初めてパリに来て、一体どれだけ掃除してないんだ!と
その汚さに驚きましたが、今回はきれいになっていて驚いた。
たまたまなんでしょうか。それとも、掃除するようになったんでしょうか。

 

メトロの駅自体も新しくきれいになっているところが多く、
メトロが美化に力を入れてきたのかもしれません。
これはある駅の動く歩道ですが、もっと暗かった記憶があります。
ともかく山積みのゴミがなくなっただけでも印象が変わりますね。
今後もきれいさを保持してくれるといいですね。

 

でも線路の上には、このようなゴミの投げ捨てもあります。
どこにでもマナーのなっていない人はいるものですが、
掃除をマメに行って、きれいにしておけば、
そのうち利用者も気づくはずです。
割れ窓理論は、どこの国でも応用がきくそうだから、
今後もめげずに清掃がんばってもらいたいものです。

 

その6:パリの街角

 

フランスの田舎から大都会であるパリに到着すると、
そのあまりの雑然としたさまに、ひどく困惑します。
のんびりとした美しい田園風景から、一転してこの景色。
しかも人は多くゴミは散乱して汚いし、物価は高いし。
私が宿泊したホテルだって、この旅行の中では最狭の部屋でした。
しかも値段はそれなりに高かったのに。
いいところが全くないかのように一瞬思えてしまいますが、
少しの時間を過ごすだけで、パリの魅力に触れることができます。
それは「ここがいい」とピンポイントで示せるものではなく、肌で感じるもの。
海外旅行の一番の魅力である「文化の違いに触れる」ことでしょうか。
私がパリの街角で見た、触れた、感じたものを書いていきますので、
それを少しでも感じていただければ、幸いです。

 

緯度の高いパリの冬の朝は遅い。これでもう朝8時過ぎだったりします。
街角にはこのようなキオスクみたいな売店があちこちにあって、
新聞や軽食を売っていたりします。
パリは観光地でもあるので、お土産になりそうなものもある。
絵葉書とか、名画がプリントされた折りたたみ傘とか。
意外に面白いものが売っていることもあるので、
ちょっと覗いてみるのも楽しいです。

 

パリの道路の路上駐車はすごいですよ。
東京や大阪なんぞ、かわいいもんです。目も当てられないくらいひどい。
まず道路の端っこは、全てと言っていいほど、駐車帯となっています。
広めの道路だったら、両側に路駐。その間をくぐりぬけていくドライバー。
しかも道路事情はいいとは言えず、石畳も多いのです。
渋滞もひどいし、パリでの運転は本当に大変だと思います。
レンタカーを考えている方、パリ市内での運転は覚悟が必要です。

 

しかもこんな状態になっている車もあるし。
これ、わざとやったんでしょうかね。至るところ、満遍なく書かれている。
ここまでくるとアートだな、と感じるくらいです。
もともと日本人ほど車を大事にする人種もないだろうから、
「落書きされても、走りゃいいだろ車なんて」って思っている気もする。
こういう車、何台も見かけました。

 

ま、落書きはあるんですよ、あちこちにね。
左の黄色いのはポストですが、やはり落書きだらけ。
一か所でも書かれると、次々に犠牲になってしまうようです。

右の写真は落書きは関係ないです。切手の自動販売機。
ポストを載せたので、一緒に載せてみただけです。

 

そんな車に代わる交通手段として、狭い道でもスイスイの自転車。
パリの街角には、こういったレンタル自転車があって、
時間制で誰でもレンタルできます。
でも道をよく知らないと、返却できなくなるなあ。
道さえよく知っていれば、晴れた日には便利そうではあるけれど、
もしかしたら法律上ヘルメットが必要かもしれません。
道によっては、自転車の専用道路が設けられていたりします。
私は道も知らないし、利用しませんでしたが、
フランス人たちは盛んに使っているようで、自転車の空きが多かったです。

 

街中をうろうろと散策しているだけでも楽しいのですが、
うろつけばお腹もすくし、喉も渇く。
パリにはカフェが多く、このようなお店があちこちにあります。
パリのカフェといえば、このように路上にはみ出た座席。
パリの歩道は日本と違ってとても広いので歩行者の邪魔にならず、
車の排気ガスがもろにかかるということもありません。
気候が良ければ、外のほうが気持ちがいいこともあります。

 

しかし今回の旅行で気づいたのですが(未確認ではありますが)
どうも「公共の屋内」は禁煙となったようなのです。
すると必然的に外の座席は喫煙席となるわけですね。
外は寒いですが、お店によっては巨大な電気ストーブを焚いていたりして、
必ずしも寒いわけではありません。

 

国の違いもあるのでしょうが、お店に動物を連れて入る人もいます。
星がつくクラスのレストランはわからないけれど、
カフェやビストロでは目撃しました。
でもこのように路上で飼い主を待っているワンちゃんもw
あまりにもかわいらしくて、撮らせていただきました。

しかし路上の犬の糞はかなり少なくなりました。
以前来た時は、かなり目立ったのですが。

 

物を食べて飲めば、トイレにも行きたくなる。
これはあちこちに設置されている公衆トイレ。有料です。
でも使い方がよくわからなかった。お金入れなくても、開いたし。
こういう公衆トイレの中には、一人利用するごとに内部全部を洗うというのもあって、
間違って中で人間も洗われてしまったこともあったとか。
もしかしたら、無料になったのかなー。結局利用しなかったんで、わかりません。
トイレは喫茶店などでも有料がデフォルトで、
硬貨を入れないとドアが開かなかったりすることもあります。
よくわからなかったら、店員さんに聞きましょう。

 

有料だと言っても、海外のトイレに日本のレベルを期待するのは無謀です。
このように和式に近いものもあるし、形は色々ではありますが、
日本のトイレの快適さは、おそらく世界に類を見ないものでしょう。
温かい便座なんて、旅行中全く遭遇しませんでした。
ホテルのトイレだってそうだし、空港のラウンジだってそう。
気になる人は、便座除菌シートみたいなものを持参するのがいいでしょう。

 

お店に入らずとも、路上で食べられるものも多い。
これはパリの名物、焼き栗です。
ドラム缶のようなものの上で栗を焼いているのですが、
特に味付けはしていません。栗本来の味です。
新聞紙にこのように包んでくれます。
これも以前はよく見かけたんだけど、今回は少なかったなあ。

 

もう一つ忘れてはならないのが、クレープ。
パリではあちこちにクレープ屋さんがあります。
中の座席で食べるもよし、外で立って食べるもよし。
種類によってはお皿にきれいに盛りつけられたりするので、
そういうのはイートインするしかありません。
このクレープ屋さんは、注文すると中に消えていなくなってしまい、
5分くらい待たされたので不安になったのですが、
単に材料を奥に取りに行っていただけだったのでした。
日本人はせっかちでいかんですねえ。
ちなみにここで食べたのはキノコのクリームソースのクレープでしたが、
熱いわ量は多いわ美味しいわで、大満足でございました。

 

クレープというと、日本ではおやつ感覚だったりしますが、
フランスでは食事代わりになったりもするもので、結構大きいです。
もともとフランスでは「お菓子」という位置づけではなかったそうで、
「食事」の感覚になれたフランス人が日本に来てクレープの屋台を見て、
こんなのクレープじゃない!とびっくりしたという話も聞いています。
まあでも、騙されたと思って食べてみなって、フランス人!美味しいんだから!と
私は常々思っていたものでした。

今回パリで見かけたクレープ屋さんのメニューを見ると、日本のクレープっぽいものが
かなり増えているように感じました。
果物入れたりクリーム入れたり、原宿のクレープほど派手な盛り付けではなくても、
甘いお菓子感覚のものが、とても多くなってきています。
だって日本式のクレープ、美味しいですからねー。
特に甘いものに目がない女性なんかは、クリームと果物だけでもいけるでしょう。
今後もクレープの本場として、更なる中身の発展を願っておりますが、
日本ブームだそうだし、小倉抹茶や味噌餡、ゴマ餡なんてどうでしょうか?

だめですか、そうですか。

 

食べ終わった後のゴミですが、パリには多くのゴミ箱が設置されています。
これはおそらくゴミ箱ではなく、リサイクル用のものだと思います。
写真が見当たらないのですが、ゴミ箱は透明のポリ袋が下げられています。
911テロの後から警備上の問題で中身が見えるようにしたとのことです。
分別制になっているので、きちんと指定の場所に捨てましょう。

 

これは有名なパリのデパート「Galeries Lafayete」です。
巨大ですよー、中には入らなかったけど。
夜のライトアップはシンプルではあるけれどきれいでした。
このデパートの外には、小さな露店がたくさん並ぶのですが、
そちらを見ているのも楽しいです。
集客力はあるので、この界隈はいつも人が多くて活気に満ちています。
周囲をうろうろしていただけですが、それだけでも楽しい気分になりました。

 


魚屋さん
このような高級志向の百貨店もあるけれど、スーパーも勿論ある。
フランスでは「Carrefour」が有名で、その系列のスーパーが多いです。
でもねー、ベルギーでもそうだったんだけど、とにかくレジが混む。
時間帯にもよるんだろうけど、ベルギーなんか30分待ちでしたよ。
働いている主婦が多いところでは、夕方混むのは宿命かもしれませんが、
その代りに、パリでは個人商店が思ったよりも栄えているのです。

 

日本の個人商店と同じくらいの規模のお店がたくさんある。
日本でも古き良き商店街が残っている場所もありますが、
そういう場所って昔からの人が住んでいる一軒家が多かったりして、
それなりの空気が周囲にも残っているものです。
でもパリはすべてアパートですし、よそ者の私には街の空気がわからない。
オフィス街に商店がたくさんあるかのように見えてしまうのです。

八百屋さん

 


果物屋さん
自分が日常買い物をしていて、確かに個人商店は精算が楽です。
それに商品の知識があるので、質問にも答えてくれる。
スーパーにはできない、対面販売の強みですね。
でもパリでもマルシェに出店しているお店もたくさんあるようですし、
私達の眼には見えないけれど、個人商店も生き残りをかけて
多くの努力を積んでいるのかもしれません。
日本の個人商店は、疲弊しているところがたくさんあります。特に地方では。
私は日本で生まれ育って日本が大好きであり、よその国には住めないと思っています。
滅多によその国に対してうらやましいと思ったりすることはないのですが、
こういう個人商店やマルシェで若い人が多く働いていたり、自国産の食品が多かったり、
個人商店にたくさんの人が買い物に来たりしているのを見て、素直にうらやましいと思いました。

 

大資本には大資本の良さがありますが、個人商店にもそれに匹敵するものがあるはず。
法律上の問題もありますが、今後の自分たちの生活インフラの方向性を決めるのは住民です。
経済の波というのは嫌でも押し寄せてくるものですが、堤防を築くことはできるはず。
グローバルスタンダードという名の外国の制度に押しつぶされることなく、
今後も個人商店には、世界中で頑張って欲しいものだと思います。

チーズ屋さん

 

最後に、パリの治安についてです。
パリだけでなく、外国は日本に比べると治安が悪いと言われますが、
実際はどうなのか?
この写真は、銀行やお店の外壁につけられている、キャッシュディスペンサーです。
銀行のカードだけでなく、クレジットカードなども使えます。
この機械にカードを差し込んで、現金を引き出すわけです。
こういうのが街中の大きな通りにいくらでもあるのです。まさにむき出しの状態です。
パリっ子たちは普通にここでお金をおろしますし、私も何度も利用しました。
当然ながら、一度もその帰りに襲われることなく過ごしました。
ここを利用する人は、金額の多少はともかく、必ず現金を持っているのですから、
路上強盗するには絶好のカモがたくさん飛び立つ場所であるのに、です。

 

日本でも治安が悪いところはいくらでもあります。
東京だって大阪だって名古屋だって、凶悪事件は起きています。
田舎の人から見れば、何と恐ろしい所だ!と思うことでしょうね。
でも、そこに何十年と住んでいる人もたくさんいるわけで、全てが危険なわけではない。
パリだって同じです。
変な時間にうろつかない、危ないといわれる場所に行かない、知らない人についていかない。
所有物には気をつける、大金を持ち歩かない、そして何よりも馴染んで堂々とした態度。
とにかく気を付けていればいいのです。隙を見せなければ、寄ってきません。
旅行者全員が襲われるわけではないのですから。

 

パリの憂鬱を完全に描ききった、と言われている画家の佐伯祐三。
私は彼の絵の良さが全くわからなかったのですが、パリに来てみて、あっ!と気づきました。
彼の描く鉛色の空、雑然とした色彩の街、全体的に暗い色使い。
それは佐伯の精神状態の不安定さだけから来るものではなく、やはりパリそのものなのです。
パリの街角に立って周囲を見渡した時、時代は違うけれども佐伯が感じたパリの空気を
私も感じ取ることができたのでした。
だからと言って、パリが憂鬱で暗い街という判断は違うと思います。

パリの魅力は、多くの人々が暮らし働いている、巨大で活気に満ちた街であり観光地だということです。
大自然のパノラマは、時には息を呑むほど美しいものを見せてくれることがありますが、
私はその感動を延々と感じていられるデリケートな人間ではないのです。
私は街が好きです。
日本でも、人々が生活している場が好きで、普段の生活に興味があったりします。
温泉も野湯と呼ばれるものよりも、人々の普段の生活に入り込んでいる共同湯のほうが好きです。
そこに住んでいる人がいて、その人たちの形成してきた文化がある。
食事の楽しみがあって、消費の楽しみも味わえる。
日本人とは明らかに違う価値観があって、社会が回っている。そしてみんな生活している。
東京に来る外人たちも、きっとそんなことを楽しみに来ているんだろうな、と思いました。
異文化との接触というのは新鮮な経験をもたらしてくれるだけでなく、自国の文化の再認識にもなります。
様々な人たちに合った楽しみ方を与えてくれる、華の都・パリ。
佐伯の描いた憂鬱もあるし、華やかなブティックもあるし、街には犬を連れたホームレスも多くいます。
私たちがどのようにその場所を見るかによって、その街の表情はがらりと変わる。
パリを訪れる人たちの目には、それぞれのパリの姿が焼き付けられているはずです。

 

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