2009年フランス旅行記
2009/1/28(水)〜2009/1/29(木)

〜南仏・マルセイユ(Marseille)〜

 

私はフランスがとても好きで何度か旅行で来ています。
4回だったか5回だったか…はっきりしませんが、そんなもんです。
他の国と組み合わせて旅行することが多かったんですが、
今回は初めて南仏を訪れるという目的があったので、フランス1国のみの旅をしてきました。
お休みもとれてホテルも決めて列車の切符も飛行機の予約もして、準備が整った矢先に、
SNCF(フランス国鉄)のゼネストのニュースが飛び込んできました。
日時は…なんと私がTGVで移動する予定の日ではないですか!
これは大変と予定を組み替え、パリからマルセイユへの国内便を抑えました。
その数時間後、国内便が10倍ほどの値段になっていて驚きました。
行く前からこんなハプニングで始まった私の2009年フランス旅行ですが、無事に帰国しました。
テーマ別に写真付きでレポートします。どうぞご覧ください。

 

1:パリからオルリー空港、そして国内線でマルセイユ空港へ

 


初めてのオルリー空港
パリのシャルル・ド・ゴール空港に到着したのは15時過ぎ頃でした。
これからマルセイユ行きの国内便に乗らなければならないので、
急いでオルリー空港へ行かなければなりません。
実はオルリー空港は初めてだったので、迷わずに行ける自信があまりなく、
パリ・ノルドからタクシーで行きました。
若い陽気な話好きなドライバーで、英語で色々と話しかけてくれました。
道は混んでいたけれど、おかげさまで楽しい時間でした。
オルリーへ行く場合は、西と南がありますので、間違えないように。
間違えると、大変なことになるそうです。

 

オルリーはCD空港よりは小さめであるからなのか大変な混雑でした。
なんとかセキュリティを通り、予定通りの飛行機で初めての南仏へ。
到着したマルセイユ空港は、想像したよりは大きかったですが、
やはり地方の空港だなーという、静けさに満ちていました。
今夜はもう遅いので、空港近くのホテルで1泊。
明日の朝早くに、マルセイユ市街地へと出かける予定です。

 

一夜明けて、チェックアウト後マルセイユ空港に戻りました。
SNCFの駅までのシャトルバスがあるのではないかと思ったのですが、
マルセイユ市街地まで行くバスがあるらしいので、探してみることに。

 

あっさりみつかりました。
空港前のバスターミナルの中に、券売所と思しき建物があります。
そこで受付の女性に聞いてみると、これから出るところだとのこと。
お金を払って、早速目の前のバスに乗り込みました。
私たちが乗ってから、すぐ出発。
オフシーズンだからか、貸切状態です。

 

周囲は明るくなってはいましたが、それでも夜は明けたばかり。
市街地まで30分くらいの道中、ゆっくりと昇っていく冬の太陽を
何とも言えない気分で見つめていました。
南仏とはいえ高緯度なので、なかなか陽はのぼりません。
オレンジ色の光に照らされて弱く輝く家並みが美しかったです。

 

2:マルセイユの港周辺

 

さて、そうこうしているうちに、SNCFマルセイユ駅に到着。
バスロータリーに停車するのですが、マルセイユ駅は初めてだし、
今日の帰りにはここからまた電車に乗らなければなりません。
下見を兼ねて、駅の中に入ってみました。
想像以上に大きな駅で、列車も何台も停車しています。
荷物を預けられるクロークがあるのですが、休止中でした。
自分の乗る電車の時刻などを確認後、駅の外へと出てみます。

 

マルセイユは漁港を中心に栄えた町ですが、
SNCFの駅はかなりの高台にあります。
駅前のスペースから港を臨むと、このような感じ。
車が走っている道路に出るのにも、階段をかなり降りなければなりません。
しかし港までの道がまっすぐに伸びているので、
迷子になることはなさそうですね。
早速港へと行ってみましょう。
市街地は大きな建物のせいでまだ暗めですが、
マルセイユを支えてきた港には、もう明るい陽がさしているようです。

 

駅からの階段を降りきったところです。
上からでは港がもっと近くに見えるような気がしましたが、
こうして下に降りてみると、かなりの距離があるようです。
日向が暖かそうなので、そちらをまっすぐ歩いていくことにしました。
海からの風は冷たいですが、日差しは冬でも暖かいです。

 

冒頭でも書いたように、この日はSNCFのゼネストでした。
街中を歩いていると、ストライキのデモ行列を見かけました。
港の朝市のすぐ近くでも、たくさんの人が集まっています。
でもただ集まっているだけって感じで、シュプレヒコールなどはないし、
そのうちマイクを持ってレゲエっぽい歌を歌いだす人がいたり、
そのリズムにのって一緒に歌ったり踊ったりする人もいるし。
花火みたいに発煙筒をたいたり、なんだか小規模なお祭りのようなノリでした。
革命の国のデモという緊迫感はあまり感じられないものでしたが、
暴力的なものが全くなくて、観光客としては助かりました。

 

でも、デモのおかげで普段通りのマルセイユの雰囲気が経験できたかどうか、
終始わからないままでした。
港にはこのように漁船がつき、その日の水揚げ分をすぐ目の前の朝市で売るのですが、
この日はデモのため、規模が縮小されていたようです。
10店も出ていませんでした。サザエの殻を売る名物のおじいさんも、この日は見かけませんでした。

 

マルセイユの港から高い丘の上にある教会が見えます。
ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院です。
先端に塔のようなものが見えますが、これはマリア様なのだそうです。
湾から外へ出ても、このマリア様はかなり遠くまで見えるようで、
海の男たちを高い場所から、やさしく見守っているのです。

 

湾の向こう岸へは、もちろん延々と歩いていけば着きますが、
無料の渡し船もあります。
10分に1本くらいの頻度で運航しており、20人くらいは楽に乗れます。
周囲にはビニールの壁があるので、雨や波しぶきも大丈夫。
停泊所に運航時間が書かれていますので(昼休みなどがあります)、
一度は乗ってみるといいかも。

 

しかし本当に、マルセイユの港は美しい。
湾の中に多くの帆柱が立ち並び、陽の光を受けて白く輝いています。
大瀧詠一の「白い港」という曲がありますが、その中の1フレーズ
「セイルを降ろした無数の帆柱がこわいほどきれいだよ」にまさにぴったりの情景。
私は子供の頃その曲を聴いて、まさにこういう光景を頭に描いていた。
だから初めて見た光景なのに、懐かしいような、デジャヴのような、
そんな不思議な感覚に捕らわれました。
雲ひとつない青い空に、数え切れないほどの帆柱。
ここはまさに私が子供の頃に心に描いた、「白い港」そのものでした。

 

漁村とは言っても船の規模は小さいのがメインのようで、大型の漁船は見かけません。
小さな港ですし、フェリーなども出ているようなのですが、
大型の船舶はこことは少し離れた場所にあるのでしょう。
港を歩いていると、船大工さんが船を作っているところに出くわしました。
実際にこうやって船を作っているところを見るのは初めて。
水揚げ量などを考えると、精々1人か2人乗りくらいの船でしょう。
小さな単位での漁業が中心ですが、船の数は多そうです。
明るい日差しのせいもあってか、とても活気のある港町という印象が強く残りました。

 

3:マルセイユからエクス・アン・プロヴァンスへ

 

午後3時過ぎ。朝方一斉に止まっていた電車は、もう動き出していました。
私が日本で買っておいたチケットも無駄にならなかった。ほっとしました。
マルセイユ駅から予定通りの時刻で、エクスへの電車は出ました。
2等車と言っても、このようにきれいで、乗り心地はとてもいい。
オフシーズンのためなのか、乗客はかなり少なめでした。

 

何度かSNCFの電車には乗りましたが、今回初めて見たもの。
この壁につけてある金属のフックのような金具、何に使うと思いますか?
赤い部分に小さく自転車のマークがついています。
つまりこれは、自転車を車内で固定するためのものなんですね。
壁のかなり上部についているので、自転車は宙吊りになるのです。
フランスは自転車が盛んな国なので、自転車を持ちこめる車両がありますが、
これはかなり新しいパターンなんだろうと思います。

 

このようなとてもカラフルな電車も見ました。
パリなどフランスの北の方では、青や臙脂など落ち着いた色が多いですが
やはり太陽を眩しく感じる南仏、色彩感覚もちょっと違います。
しかもこの派手な色彩が浮ついたものに見えず、とてもマッチしていて、
ああ南仏なんだなあと感じさせられました。

 

30分ほど電車に乗って、エクス・アン・プロヴァンスに到着しました。
エクス・アン・プロヴァンス。誰でも名前くらいは聞いたことがある、有名な街です。
しかし駅舎の規模の小さいこと!
マルセイユと比べると、本当に小さくて、可愛らしい駅でした。
この駅に降り立った時には、私がこの街で南仏の虜になってしまうとは、
本人でさえもまだ気付いていませんでした。
カートをころころと転がしながら、私はエクスの街中に進んで行ったのです。

 

2009年フランス旅行記・南仏 1:マルセイユ
2:エクス・アン・プロヴァンス
3:アヴィニヨン
4:シュヴァルの理想宮
ゴッホの足跡を訪ねて 1:アルル
2:サン・レミ
3:オーベル・シュル・ロワーズ
フランス雑記 1:ルーアン
2:パリ・ぶらぶら散歩
3:フランスグルメ

 

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