2009年フランス旅行記
2009/1/31(土)

〜南仏・アヴィニヨン(Avignon)〜

 

♪アヴィニヨンの橋で 踊るよ踊るよ アヴィニヨンの橋で 輪になって踊る♪
♪兵隊さんが通る みんなも通る…♪

フランスに古くから伝わる童謡「アヴィニヨンの橋の上で」は、誰もが一度は聴いたことがあるでしょう。
アヴィニヨンはフランス南部にある都市の名前。F1ドライバーのジャン・アレジの出身地でもあります。
でもやはり一番有名なのは、この童謡でしょうね。
私も子供の頃は、アヴィニヨンがどこなのかということも知ろうともせずに歌っていましたっけ。
もっとも母が歌ってくれたのは「湯でたこちゃんが通る…」なんて調子でしたが。
そのアヴィニヨンの橋は、実は今でも残っているのです。

 

アヴィニヨンはヴォクリューズ県の県庁所在地でもあるので、駅はそれなりに大きい。
駅前はロータリーのようになっており、街中へ入る門があります。
この日は小雨がぱらついており、南仏にしては寒かったです。

 

門を抜けると、メインストリートに出ます。
駅からまっすぐに伸びた道で、両サイドにはお店がたくさん。
オンシーズンだったらそれなりに賑わっているのでしょうが、
なにせ今はオフシーズン真っ只中。
閉まっているお店も多く、観光客もそれほどの数ではない。
かなり寂しい街中となっておりました。

 

あちこちの街角に、このような案内が出ています。
「Pont d' Avignon(Saint Benezet)」と書かれています(下の表示)。
アヴィニヨン橋の正式な名称はサン・ベネゼ橋。
この街一番の観光名所なので、案内はこのようにちゃんと出ています。
このとおりに進んで行きましょう。

 

わずかに開いているお店などを見ながらぶらぶらと30分くらい歩くと、
ローム川という川に出ます。
そしてこのような光景が目の前に現れます。
それは川の途中までしかかかっていない、中途半端な橋。
実はこれが、あの「アヴィニヨン橋」なのです。

 

大きい写真だと、このような橋です。川の真ん中までしかないでしょう?
勿論以前はちゃんと川を横切る大きな橋で、橋脚は22もあったそうですが、
戦争やローム川の度々の氾濫で何度も橋は破壊され、その都度修理をしていました。
しかし17世紀のペストの流行で橋の修理は中断。
その30年ほど後に渡れるようになるのですが、またもや橋脚は流されてしまいます。
しょっちゅう通れなくなっている橋よりも、船などの確実な方法で川を渡る人が増え、
結局橋はこの状態のままで現在に至ります。

 

橋へは入場料を払えば立ち入りできます。ここが入口。
この橋はお城の外に作られており、お城の見学もできますが別料金です。
時間的な余裕がなかったので、私は橋のみの見学にしました。

 

日本語の音声ガイドもありました。無料で貸し出してくれます。
橋の要所要所で番号を押すと、その場所の説明が聞けます。
この橋は着工が1177年。1000年近く前なのです。古いんですね。
一つの橋と言っても長い歴史があり、オーディオガイドの説明量もかなりのものでした。

 

城壁の外に作られているこの橋は、攻め込まれるのを防ぐために
入口のところは一部跳ね橋となっています。
昔はこの跳ね橋を上げることもあったのでしょうが、
今はずっと下ろしっぱなしです。

 

跳ね橋を渡ると、このような眺め。
右の写真は、橋の上から見たローム川です。結構高いでしょう?
今は橋脚がかさ上げされているのですが、昔はもっと低かったらしい。
ローム川が氾濫すると、渡るだけで命がけだったらしく、
実際に流されて亡くなった人も多かったとか。
現在でも「いつ壊れてもおかしくない」状態らしいです。
台風など、本当に危険な時は、入場禁止にするのでしょうね。

 

途中で途切れている橋の端っこは、こんな感じになっています。
なんだか頼りない感じの柵が設けられているだけです。
昔の橋としてはかなりの大きさなのでしょうが、現代の基準だと少々狭い。
車がすれ違うことができないくらいの幅しかありません。

 

本当にこんな狭い橋の上で、みんなで輪になって踊れるの?と感じますが、
実際は橋の上ではなく、下で踊るという歌詞だったそうで、
それが長い間になぜか上で踊るという歌詞に変わっていったらしい。
橋の下?そう、橋の下があるんです。
橋の横にこのような階段があって、下部分に降りることができます。

 

下には聖堂があったのです。
現在はその名残をとどめるのみになっていますが、
この橋を架けるように神の啓示を受けた羊飼い・聖ベネゼの遺品などが
ここにあったそうです。
橋はいつ壊れてもおかしくない状態となったため、17世紀の頃に
ベネゼの遺品は修道院に移動させられました。
昔はこの聖堂で、みんなが歌っていたのか…。
今は静かなこの橋の下で、長い長い時の流れを感じました。

 

せっかくアヴィニヨンの橋に来たのだから!と
連れと両手をつないで、歌いながら橋の上で踊ってみました。
♪アヴィニヨンの橋で 踊るよ踊るよ アヴィニヨンの橋で 輪になって踊る♪
他のフランス人観光客に笑われましたが、気にしてはいません…って嘘です。
少しは(大いに)気にしましたけど、いいです。楽しかったから。
この橋で踊った人はたくさんいたでしょうが、私もその中の一人になれたのですね。
橋の長い歴史の一部分になれたようで、なんかちょっと嬉しかった。
みんなが踊った場所そのものは今はなくても、心の中にあの歌とともにあり続けます。
そこでは今でも、このペンの絵のように、たくさんの人たちが踊り続けているのです。

 

2009年フランス旅行記・南仏 1:マルセイユ
2:エクス・アン・プロヴァンス
3:アヴィニヨン
4:シュヴァルの理想宮
ゴッホの足跡を訪ねて 1:アルル
2:サン・レミ
3:オーベル・シュル・ロワーズ
フランス雑記 1:ルーアン
2:パリ・ぶらぶら散歩
3:フランスグルメ

 

湯でたこの温泉めぐりへ>>湯でたこ観光局へ