2009年フランス旅行記
2009/1/29(木)〜2009/1/31(土)

〜南仏・エクス・アン・プロヴァンス(Aix-en-Provence)〜

 

1:エクスの街中

 

南欧を旅する時に、いくつか拠点となるであろう都市があります。
エクス・アン・プロヴァンスもその一つ。
小さな街ながらとても美しく、人気のある観光地です。
私はこの近くにあるサン・レミという街へ行きたくて、
そこから近いエクスで3日間を過ごすことにしました。

 

駅前はとても静かで、あまり観光地という感じはしません。
ツーリズムオフィスがあるはずなので、まずはそこを目指しました。
駅前から表示が出ていたので、その通りに進んでいきます。
道路は思ったよりも広く歩道も広く、ゴミなども目立たない、
とてもきれいな所だな、というのが第一印象でした。
人気は少ないけれど、危険な感じはしません。
カートを転がしながら、15分くらい歩いていきました。

 

すると、突然左のような大きな噴水が目の前に現れました。
ここがどうやら街の中心地のようで、人がたくさんいます。
ツーリズムオフィスも、この中心地にありました。
エクスの一番賑やかな通りからこの噴水を見ると、
このように見えます→。

 

夜になるとライトアップされて、とても美しい。
ここは巨大なラウンドアバウトであるだけでなく、
周囲にはバスのターミナルもあるし観光局もあるし
ちょっとした広場もあるし、色々なお店もあります。
ここから放射状に、あちこちに道が伸びている。
まさにエクスの中心地なのです。

 

エクスにはたくさんの泉が湧き出ています。ざっと歩いただけでも、このくらいは楽に見つかる。
中心地の巨大な噴水はおそらくポンプを使って循環させているのでしょうが、
街のあちこちに点在するこれらの小さな泉は、本当に自然にわき出ているようです。
長い年月の間に岩が苔生して、とても侘び寂びを感じさせているものもありました。

 

噴水から東方面へ伸びるこの道が、エクス一番の繁華街です。
道はとても広いですが交通量が少なめなので、それ程うるさくもありません。
道の両側にはきれいなお店がずらりと並び、広い歩道を家族連れがのんびりと歩いています。
のどかなのに、とても賑わっている。
豊かな地方都市という感じです。

 

その大通りから横へと伸びている道が何本もあり、
それらの小路の奥も人で賑わっています。
レストランあり、きれいな花屋さんあり、ブティックあり。
パリのような有名なブランド店はそんなにないでしょうが、
小規模なお店がたくさんひしめきあっていて、
ウィンドウショッピングをしているだけでも、ウキウキしてきます。

 

でもこの小路はくねくねと、迷路のようになっているのでご用心。
まあ大体賑やかなほうへ進んでいけば、大通りに戻れます。

今回はたまたまソルド(バーゲン)中だったのでどのお店も一斉に値引き中で、
それもショッピングが楽しめた大きな理由の一つでもありました。
フランスはソルドの期間が決まっており、お店が勝手にソルドをしてはいけないのです。
その代りソルド中はフランス全土で特売が行われるので、
何か欲しいものがある人には、狙い目の期間でもありますよ。
実際私はパリでTUMIのスーツケースを、日本の10分の1くらいの価格で買えました。

 

日本でもおなじみの、ロクシタンのお店です。
ロクシタンは南仏の名物でもあるラベンダーの花のエキスを、
昔の製法で抽出したものを、エクスのマルシェで売ったのが始まりです。
私も好きでよく使っていますが、やはり日本では売ってないものもあり、
さらにソルド中なので、かなりの割安になっていました。
ありがたく、多めに購入させていただきました。

 

エクスの街中には、このような小さな車もあります。
観光タクシーのようなものですが、定員は2人ほど。
日本の軽くらいの小さな車で、エクスの街中を走ります。
私は今回利用しませんでしたが、中心地から駅までとか、
朝市までなどは、それなりに距離があるものです。
足が丈夫な若い人はいいけれど、老人にはきつい場合もあります。
タクシーを利用するほどではないけれど…という時には、いいかも。
街の中心の噴水近くの広場に待機しています。

 

そしてエクスが南欧めぐりの滞在地として候補に挙がる理由が、
バス便が充実している、ということです。
街の中心地にバスターミナルがあり、色々な方面へバスが出ています。
このようにバス専用の信号機もあります。

 

巨大なバスターミナルというよりは、噴水近くの道路の半分が
バスターミナルと化している、と言ったほうが正しいでしょうか。
とにかく必ずどこかへいくバスが停まっていて、
バスを待っている人もたくさん。時間帯によっては、溢れています。
しかしどこの国でもそうですが、慣れない人にはバスというのは、
とても利用しにくい乗り物です。
バスを駆使して南欧めぐりをする場合は、しっかりとした下調べが必要だと思います。

 

2:エクスのマルシェ

 

エクスなど南欧の街では、朝市が盛んだと聞きました。
なんでも街のあちこちに、毎日のように市が立つ、と。
しかし3日間エクスに滞在して、その朝市を発見できずに、
最終日が終わろうとしていました。
調べが甘かったかなー、でも街のあちこちって聞いたんだがな…。
滞在3日目の朝、予定を変更してセザンヌのアトリエに行ってみることにしました。
エクスは印象派の巨人、ポール・セザンヌのアトリエのあった場所なのです。
街の中心地には、このようなセザンヌの銅像があります。

 

ツーリズムオフィスの前あたりから、歩道の路上にこのようなマークが。
これが点々と続いているのです。
おそらくこれがセザンヌのアトリエへの道案内だ!と
私はこのマークに従って、10分ほど歩きました。
そのうちに人通りが多くなってきて、私の前にアメリカ人観光客と思しき
太った一家が、どこかを目指して歩いているのが見えました。
もしやこの人たちはマルシェに行くのでは?!
何となく思っただけですが、ちょっとついて行ってみました。
そうしたら…

 

ありました!朝市が。やっと見つけたぞ〜!
観光の中心地からは、ずいぶんと離れた場所でした。
エクスに住んでいる人たちが利用するわけですから、
そういう人たちが住んでいる場所の近くにあるわけですね。
いや〜、あの太った一家のおかげです。ありがとうございました。
セザンヌはとりあえず後回しにして、エクス名物の朝市を見ることに。

 

朝の9時過ぎでしたが、大勢の人で賑わっていました。
色とりどりのテントが張られ、その下では
みずみずしい野菜や果物が所狭しと並べられています。

 

このような日向の場所では、太陽の光にあまり影響を受けない根菜が多い。
勿論お野菜だけでなく、魚や肉、チーズなどのお店もあります。
魚は氷漬けになっており、丸のままで売られています。
パリでもそうでしたが、大きな魚はその場で切って売ってくれるようです。

 

お花屋さんもたくさん出店していました。
冬場はどうしても花の種類が少なくなるように思いますが、
この季節でないと見ることができない有名なお花があるのです。
これだけお花が並べられた中で、一際存在感のある花。
どんな色と合わせても美しいレモンイエローで、
かすかな香りと鮮やかな見た目が人気の花です。

 

それがこれ、ミモザです。南欧では、この時期が花盛り。
運が良ければ鉄道に乗った時に、山腹に咲くミモザを見ることができるそうです。
ミモザって草ではなく、木なんですね。ロクシタンの紙袋の写真そのままの木です。
この可憐な花からは想像できないほど、ずっしりとした幹を持ち、枝は広く張って、
その木いっぱいにミモザの花が咲くのだとか。
あ〜、今回は見られなかったけど、次の機会には是非!見てみたいものです。

 

こんなカラフルな陶器を売るお店もありました。
フランスと言っても、パリのような北欧とこちら南欧とでは、
様々なことが違うのだなあと、これを見て感じ入りました。
スペインにも近い、地中海文化圏の南欧では、
ポルトガルやスペインのような、鮮やかな色彩がとにかく多いのです。
太陽の恵みを感じられる場所だからこその、この色なのでしょう。
とにかく奇麗なので、私も自分用にいくつか買って帰りました。

 

それから、これを忘れちゃいけませんね。マルセイユ石鹸です。日本では「マルセル石鹸」なんて言う場合もありますね。
マルセイユ石鹸とは、ルイ14世の時代に定められた石鹸の基準(良質な材料、伝統の製造方法など)に合っていたのが
マルセイユで作られていた石鹸だったことから、広い知名度を得ます。
今でも大量生産ではない、釜焚き・熟成などの工程を経て作られており、小規模な工場が多いようです。
朝市にも、たくさんのマルセイユ石鹸が売られていました。きれいですね〜。美味しそうにすら見えてしまいます。
このパステルを並べたような美しい色合いと、周囲に漂う石鹸の何とも言えないいい香りに、
選んでいるだけで幸せな気分になってしまいました。
普通の大きさのもありますが、3cmくらいの大きさのものもあったりして、とてもかわいい。お土産にはぴったりですね。

 

他にもプロヴァンスならではのものとして、ポプリがたくさん売られています。
可愛らしいプリントの布で作られた袋に入っているのは、ラベンダー。
ラベンダーも南欧の名物で、ラベンダー畑が満開になる季節には、
多くの観光客が訪れるそうです。
とても心が安らぐいい香りで、匂いが弱くなったら袋を手で揉むと
また匂いが蘇りますよ。

 

ポプリの中身だけ、つまりラベンダーの乾燥した花も売っています。
ラベンダーの香りを抽出したオイルもあるので、
自分の気に入った布で袋をこしらえてその中にお花をいれるのもいいですね。
市場には石鹸やポプリやお花などの匂いが満ち溢れています。

 

エクスではコットンも名産品の一つです。
明るい太陽に恵まれたエクスのプリント布地には
ひまわりや太陽、ラベンダー、オリーブなどが描かれており
飾っておくだけで部屋が明るくなりそうな模様。
フランスでは南仏でしか見ることのできない蝉の模様も多いです。
パリなど北部には蝉が生息していないため、夏に南仏で蝉の声を聞くと
「ああ、南に来たんだなあ」と、北部のフランス人は感じるのだそうです。

こんな感じの明るい布

 

写真がちょっと暗いけれど、これは蜂蜜を売るお店ですね。
日本で売っている蜂蜜は、レンゲやアカシアがメインですが、
こちらでは本当に沢山の種類が売られています。
蕎麦の花の蜂蜜なんてのもあるんですよ。
黒くて「本当に蜂蜜?」と思ってしまう外観ですが、
香りも甘みも強く、売っているおじさんの言っていたとおりの
「very strong!」なコクのある味でした。

 

暖かいこの地方では、オリーブもたくさん収穫できます。
マルセイユ石鹸は、主にこのオリーブ油を使っています。
勿論食用のオリーブ油もたくさん売られていますが、
日本のオリーブ油よりも少々香りが強いそうです。
オリーブ漬けはよくワインのお共に出されます。
当たり外れが大きいのが難ですが、当たりは本当に美味しいですよ。
ワインともよく合います。

 

とまあこんな感じで、朝市だけで2時間以上楽しむことができました。
エクスの朝市は本当に規模が大きくて、色々な名産品が売られており、
お土産物屋さんをまわるよりも効率よくお土産が調達できること間違いなし。
冬の晴れた朝、明るい光に照らされながら朝市を見て回るのは、
パリの街のブランドショップをまわる楽しみとは全然別質のものです。
この市場では太陽がもたらしてくれた恵みを感じることができます。
光溢れる南仏の地方都市の、生活に密着した朝市。
この朝市が私のエクスへのさらなる愛着を増幅してくれました。
そして、明るい太陽のこの街に、必ずまた帰ってこようという気持ちを持って
この都市を後にしたのでした。

 

2009年フランス旅行記・南仏 1:マルセイユ
2:エクス・アン・プロヴァンス
3:アヴィニヨン
4:シュヴァルの理想宮
ゴッホの足跡を訪ねて 1:アルル
2:サン・レミ
3:オーベル・シュル・ロワーズ
フランス雑記 1:ルーアン
2:パリ・ぶらぶら散歩
3:フランスグルメ

 

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