太古の森に会いに行く〜屋久島〜 その3

3:島の動物たち

縄文杉へ行く山道で鹿が出てきた!と書きましたが、
一番野生動物が多く見られるのは「西部林道」という場所です。
その名の通り、島の周回道路の西側のあたりなのですが、
道はきちんと舗装されているものの、ガジュマルが生い茂っていたりして、
ちょっと鬱蒼とした感じの道路です。
ここで野生動物を多く見ることができます。

 

野生動物と言っても、猿と鹿くらいなんですがね。
これが普通に道路に出てくる。座ってる。
西部林道はカーブが多くて、幅員も他の道よりも狭い。
それに野生動物がたびたび出てくるので、
他の道に比べて事故が多くなりがちだそうです。

 

猿はもう本当にうじゃうじゃいますよ。
このように道の真ん中にどっしりと座ってしまってて、
車が近づいてきても動こうとしない。
一部の観光客が食べ物を与えてしまったことに味をしめて、
車が近づくと何か貰おうとしているのだそうです。
無視してアクセル踏んでOK。猿は素早いので、轢かれることはないそうです。
同じ民宿に泊まった大学生は、自転車でここを通り過ぎたんですが、
猿に追いかけられたそうです。何もくれないと、奪いにくるんですね。怖い。
くれぐれも、野生動物に餌をやるのはやめましょう。

 

鹿は人間がくれるお菓子なんぞには興味はないので、
ただ単に道に出てきてしまっただけなんだと思います。
鹿は車が近づくと逃げてくれるので、
何となく猿よりも可愛げがあるように感じます。
体はそれ程大きくない。でも、角が生えている鹿もいます。

 

これは白谷雲水峡への道で見かけた鹿です。
何頭かで、静かに木の芽を食べていました。
雨が多い屋久島では緑も濃く、鹿たちは食べ物に困らなそうです。
山や林道にいけば、結構な確率で会うことができますよ。

 

4:屋久島灯台

 

東シナ海に面した屋久島の西側に、屋久島灯台があります。
西部林道の近く、道路沿いに看板が出ています。
灯台から見えるのは、切り立った断崖と海のコントラスト。
緑濃い森の下に白く見える岩は花崗岩です。

 

車を停めるとすぐ目の前に、白いきれいな灯台が見えます。
この場所に灯台が建てられたのは、明治30年。
その頃には灯台守が住んで、海の安全を守っていたのです。
今は勿論機械化されています。

 

真白です。
これは当然ながら最近建て直されたもので、初代の灯台は煉瓦造り。
その煉瓦が、今は記念碑になって残っています。
今でこそ鹿児島から高速船で2時間で来ることができますが、
昔は屋久島に行くのは本当に大変だったのだそうで、
この灯台を建てた頃の苦労が偲ばれますね。

 

 

5:白谷雲水峡

白谷雲水峡は屋久島の中でも縄文杉に次ぐ人気のハイキングコースです。
色々なコースがあるので、熟練者から家族連れまで、
どんな人でも楽しむことができます。
私は縄文杉往復での関節痛がまだ多少残っていたので(笑)
1時間ほどの弥生杉コースを行きました。

 

ここのネックは駐車場ですね。
かなり早めに行かないと、すぐにいっぱいになってしまいます。
で、あふれた車はどうなるかというと、道沿いに延々と路駐となって並びます。
ここもそのうち上高地みたいに、マイカー規制になるだろうなあ。
というか、そのほうがいいと思います。
駐車場横の橋を渡ったところに管理事務所があるので、そこで入山料を払います。

 

弥生杉コースは短いだけでなく、道も舗装されていて楽々。
こんな階段状のところもあるけれど、険しい場所はありません。
まだ小学生ではないと思われる幼児も見かけたりしたので、
ごく普通の体力のある人なら、余裕をもって臨めるコースです。

 

でもこんな緑のトンネルの中を歩くこともできるし、
美しい渓流を見ることもできる。
山の中は、なんというか、空気が清浄な感じです。
ひんやりと感じる湿気の中を歩いていくと、
何やら自分の肺すらも浄化されていくような。

 

日本にある800種類もの苔植物のうち、600以上が屋久島にあると言います。
樹木の表面だけでなく、ちょっとした土にも岩場にも、苔が生えています。
苔の表面は空気中の水分でぬれて、きらきらと光っています。
通常私たちが日陰で見る苔のように地味ではなく、
ここでは立派に森の一員として、なくてはならないものとなっています。
苔がなければ、この森もここまで美しくはなかったでしょうから。

 

そんな森の様子を楽しみながら30分ほど順路にそって歩いていくと、
「弥生杉」が目の前に見えてきます。
樹齢は約2000年。
縄文杉に比べると、相当楽に到着できるので、
脚力に自信のない方は、こちらで色々な屋久杉を見ても良いのでは。

 

楽に到着できるからと言って、小物の杉ではありませんよ。
なにせ2000年ですからね。幹の直径も、2.5mあります。
中は洞のようになっていますが、ちゃんと生きています。
幹の周囲に他の樹木の着生が多いのが特徴で、
色の異なる木が絡み合っているさまは、やはり生き物のようです。
ここも縄文杉と同じように、根の部分が痛まないように
囲いで保護されています。
でも木の大きさや迫力はすぐ目の前で感じることができますし、
比較的気軽に来れるコースとして、お勧めしたいと思います。

 

白谷雲水峡は、もっと先の険しい山道に入っていくと、
「もののけ姫の森」もありますが、
そこまで行かなくとも森は十分神秘的で、
自分の日常をすべて忘れさせてくれる迫力があります。
大自然の前では人間はちっぽけに感じられると言いますが、
ここには私たちには計り知れない悠久の時間が流れていて
自分がその歴史の一部を森と共有しているということで
むしろ自分もこの苔と一緒で、小さな存在だけれど
なくてはならないものなのかもしれない、と感じました。
自分の存在意義について考えてみたことがある人は、
一度この森に来てみてください。
私の感じ方とは違うかもしれないけれど、
何らかの答えを、この森は教えてくれるかもしれません。

 

屋久島に行ってきた、という話を職場でしていたら、若い女性職員が
「屋久島は呼ばれた人しか行けない島なんだ、って母が言っていました」と。
私が今まで何度か機会を逸していたのは、呼ばれていなかったんでしょうね。
実際私が若いころに屋久島に来たとしても、これほど多くのことを考えられたかどうか。
一番良い時期に、屋久島が私を呼んでくれたんだと思います。
そしてまた島が呼んでくれた時に、この地を踏んで再びこの森に海に会うのでしょう。
今度呼ばれるのはいつなのか。その時私は、どう感じるのか。
この美しい島に再び呼ばれることを、願ってやみません。

 

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