クロウサギのいる島・奄美大島 その1

2009年5月14日(木)〜5月17日(日)

 

昨年屋久島へ行った際、とても島の文化とかそういうものが気になるようになって、
以前から一度は行ってみたいと思っていた、奄美大島へ行くことになりました。
このあたり一帯は、今年7月22日に皆既日食が見られる場所。
さぞかしその日周辺は混雑しているようだし、少し早めに行ってみることにしました。
飛行機とってレンタカーとホテル予約して、いざ出発!

 

1:島へのアクセス

鹿児島空港まで行って、そこから乗り換えて行くのが一般的かもしれませんが、
東京だと奄美直行の飛行機もあります。
便数はすくないのですが、やはりトランジットはないほうが楽でいい。
朝早めの便にのって、奄美へ向かいました。
シートもトロピカル。

 

しばらく行くと、窓からはきれいな海が見えてきました。
奄美の周辺には喜界島や、泉重千代さんで有名な徳の島などがあります。
これがどこの島なのか、CAさんに説明していただいたのですが、
すっかり忘れてしまいました。

 

そして到着しました、奄美空港。
なんだか日差しが全然東京とは違います。ぎらぎらしてる。
日焼け止めはもちろん持っていったし、塗ったのですが、
それでも肌がじりじりいうような、強い日差し。
私は目がよくないせいか、まぶしいのは比較的平気なのですが、
一緒に行った連れはまぶしいのが苦手で、
白っぽいものを見ているだけでも辛いと言っていました。
まぶしいのに弱い方は、サングラスを忘れずに。

 

2:マングローブの林

 


ブーゲンビリアの花
マングローブとは、熱帯や亜熱帯の河口の汽水域に生息する植物の総称です。
つまり「針葉樹」「多年草」などと同じようなもので、マングローブという木は存在しません。
奄美大島は亜熱帯で、マングローブが有名なところです。
やはり来たからには、見たいものですね。
そのためにはカヌーなどを漕がなくてはなりません。
運動全般を苦手とする私には、少々怖いチャレンジですが、なんとか無事にこなしました。

 

このようなオプショナルツアーを扱う小さな観光会社が奄美にはたくさんあります。
私は今回はアイランドサービスさんというところにお願いしました。
幸いなことにとてもいい天気でしたので、日焼け止めをばっちりと塗り、
指定時間に指定場所に集合。
私たちの他に参加するカップルがいらしたのですが、
彼らはカヌーは慣れているようです。
全くの初心者は、私たちだけ。足を引っ張らぬよう、気をつけねば。

 

集合場所の目の前を流れる川の岸に、カヌーが立てかけてありました。
救命胴衣などを身につけ、カヌーを人数分準備して、
オールをもって、漕ぎかたの簡単な講習を受ける。
前進、後退、止まる時、Uターン、etc…。
その都度「なるほど、なるほど」と頭では理解できるのですが、
頭でわかるのと実際に行動するのは大違いだからなあ。
大丈夫かな、自分。

 

などと心配だけしていても、自分が漕ぎだす順番はやってくる。
ふらふらしながら、なんとか教えられた通りに漕いでみました。
最初は川の流れに逆らうように進むコースだったので、
流れに負けそうになったり、あらぬ方向にカヌーが向いてしまったり。
そのたびにインストラクターのお兄さんがオールの動きを指示してくれて、
ようやっと他の人についていってるような状態でした。

 

途中、細い水路に入りました。
ここは満潮の状態だとこのように水路となっていますが、
引き潮になると水が全くなくなり、カヌーでは入れなくなるのです。
2時間のツアーの最後のあたりでは、もう水がすっかり引いていました。
私たちが入ったのが、もうぎりぎりの時間だったみたいです。
水深は、だいたい膝くらいまででした。

 

奄美のマングローブは、オヒルギとメヒルギという木です。
名前だけ聞くと、雄株と雌株のようですがそうではなく、
ただ単に、違う木です。葉っぱの形状で分けているそう。
それらが水路にせりだすように、斜めに枝を伸ばしているので、
木のアーチの中を進んでいくような感じがします。

 

また、マングローブの木に特徴的なのが、この板状根。
ちょっと見づらいかもしれませんが、根っこが板のように
なっているのが見えますでしょうか?
普通根っこと言えば、茎と同じように細い枝状のものですが、
本当に板のような、幅広い根っこで根付いているのです。

 

ところどころにある、この蟻塚のような土の塔。
これはこのあたりに住んでいる蟹のすみかなのだそうです。
この写真だと大きさがわからないけど、結構大きいですよ。
こんなのがあちこちに見られました。

 

そしてこれが、メヒルギの種子。水の上に、たくさん浮いています。
種は自然に木から水中に落ちて、右のように新しい芽を出します。
やや大きめのドジョウインゲンのような形。
木への付け根よりも下部のほうが重く太くなっており、
正しく水中に根付くようになっているのです。
もちろん親木から離れた場所まで流れて行って、
そこで発芽する場合も多いです。

 

 

さて、細い水路を抜けて再び大きな川へ。
大きな川と言ってもこの水路も支流のひとつなので、
本流の大きな流れのほうへ向かって漕いで行きます。
この頃になると私も漕ぐのに少し慣れてきて、
すいすいと進めるようになりました。

 

河口近くまで来ました。山と川以外は、マングローブ林しか見えません。
普段旅行に行って見る本州の川などでは、色々な木が生えていますが、
ここでは潮に耐えられる木のみの生息。
汽水域と言っても川の水は想像したよりも塩辛く、結構な塩分濃度だと思います。
そこでマングローブの木は、過剰に摂取した塩分を枝葉の先端に送り込み、
先端の葉は、ためられた塩分に耐えられなくなると、変色し、水に落ちます。
うまくできているものです。本当に自然というのは、すごいですね。

 

もうひとつ興味深い現象がこれ。
どちらの写真も、手前が低いマングローブで、堤防のようになっていますね。
実はこれ、本当に堤防としての役割を果たすために低くなっているのです。
流れが変化しやすかったりしてダメージを受けやすい部分には、
このように低い木が生えて、堤防をつくります。
それぞれ木の太さが違うので、同じ時に根付いたものというわけでもなく、
自然にこのような形になるというのです。
まるで、木同士が話し合いでもしたみたいに。
マングローブの林全体が、共通の意志を持った、集合体であるかのように。

 

 

マングローブの美しいアーチで覆われた水路を進んでいる時、
なんとなく誰かから見られているような、不思議な感覚がありました。
単に見られてるというよりも、見守られているような。
なんだろう。マングローブの林がそう思わせたのでしょうか。
自分たちで防波堤を作ったりするマングローブの群生は
全部がひと固まりで大きな存在としてあるようでした。
カヌーは難しかったけど、やはり来てみてよかったです。
次の機会までには、もう少しカヌーが上手になって、
森の声に耳をすませたり、もっと森を感じたいものだと思いました。

 

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