あの高熱隧道へ!〜黒部ルート見学会に参加して〜その2

 

さて、いよいよ黒部ルートに入ります。
集合場所で氏名と人数を確認して、関西電力の係員さんに誘導されて進みます。
30人ほどのグループで、平均年齢はやや高めという感じです。

 

黒部トンネル内専用電気バス

 

黒部湖から黒部ルートに入る、最初のトンネルが黒部トンネルです。
ここはトンネル内なのでガソリン車ではなく、電気で走るバスで行きます。
トロリーバスとはまた違って、架線などはありませんでした。

 

で、こういう見学コースにはお約束のヘルメットです。
このマークは関西電力のマーク。
見学者は白いヘルメット、係員さんは黄色いヘルメットです。
許可がない限りは、このヘルメットは脱いではいけません。

 

さて出発!トンネルの幅員はそれほど広くなく、バス幅いっぱいに感じます。
そこを結構なスピードで進みます。
このトンネルのびっくりする点は、とにかく真っすぐなこと。
30分ばかり乗っているのですが、その間殆ど真っすぐです。
最短距離を掘り進めたということでしょうか。
はるか遠くに灯りが見えるのに、なかなか近づいてきません。
このトンネルのすごい長さを感じました。

 

タル沢

 

このバスは、ある場所で一時停車します。そこが「タル沢」。
停車するのは当然トンネルの中なので、そこから係員さんについて歩きます。
途中のトンネルの天井からは、なにやら白いつららのようなものが。
水に含まれた石灰分などが固まったのでしょうか。
あちこちにありました。

 

1分ほど歩くと、このような鉄の扉の前に出ました。
ここは普段は関電の職員以外は立ち入り禁止区域で、
勿論施錠されています。
このような、普段入れない場所に入れるというのは、
それだけで何だかドキドキしますね。

 

その扉の向こうに広がっていたのは、息をのむほど美しい景色でした。
この日は天気が良かったので、このように絵のような景観が臨めました。
ここでの景観は天気次第だそうで、気候によってはガスがかかって
1m先も見えないような日もあるのだそうです。
抜けるような青空と濃い緑のコントラストが、本当に本当にきれいでした。
もう少したつと紅葉でしょうから、さぞかし美しい眺めが期待できそうですね。

 

インクライン

 

黒部ルートの乗り物は、どれもこれも珍しいものばかりですが、
インクラインに至っては、日常生活では殆ど名称すら聞かないものです。
ではインクラインとは何かというと、簡単に言うとケーブルカーのこと。
ケーブルカーは人間を運搬するための車両ですが、
産業用に建設された傾斜鉄道をインクラインと呼ぶのです。

 

車両はこのように、銀色に光る美しいものです。
この車両は人間を運搬するためのもので、
大きな機材などを運搬する時には、
この車両を外すこともできるのだそうです。

 

どうですか、この角度!
456mという高低差をスムーズに降下するために、
最大傾斜角度は30度を超えます。
アルペンルートのケーブルカーもなかなかの角度でしたが、
ここはトンネル内ということもあって、こうして見降ろしているだけで
恐怖感が強いような気がしました。

 

インクラインに乗車する時間は20分ほど。
その間、係員さんがDVDで説明をしてくださいます。
万が一インクライン乗車中に避難しなければならない事態が起こったら、
途中で下車して2300段の階段を途中から登らなければいけないそうで。
階段を1000段も登ったり降りたりしたこと、ないなあ。
いかに自分たちがすごい場所にいるのかが実感できました。

 

黒部川第四発電所

 

黒部川には4か所の発電所があります。
その中でも最も有名なのが、「くろよん」こと「黒部川第四発電所」です。
インクラインを降りると、ちょうど発電所の前。
実は発電所の見学自体が、生まれて初めてなので、ワクワクしてます。

 

現在では第一〜第四発電所まで、すべて遠隔操作で操業しているそうです。
普段はここも無人なのだとか。
この日は何か作業があって、職員の方がいらっしゃいました。
これだけ大きな発電所というのに、状態を示す板は意外にシンプルです。

 

そしてこれが、発電所の心臓部です。
う〜ん、こんな巨大な施設が、地下200mの場所にあるとは。
巨大な発電機が何台も稼働しているというのに、
人は誰もいなくて、とても静かです。
これだけのものをあの時代に作り上げたというのに唸らされます。
しかもとても整然としており、きれいな場所であるのが印象的でした。

 

そして電力を生み出すタービンを回す水車。
ここは水力発電所ですから、これが命なわけです。
実際に回っている水車を見せていただけました。
ドアを開けた途端に、ゴォーっというすごい音が!

 

そしてこれが実際に回っている水車です(左)。
これ、ただのステンレスの棒のように見えますが、
半端でない速度で回転しているのです。
危険なので人間は近寄れないようになっていますが、
柵なんかなくたって恐ろしくて近寄りたくない!
右は静止している水車です。直径は1m半くらい。
かなり大きなものですよ。

 

この発電所の中にある、会議室のような部屋です。
ここで水力発電や黒部川の発電所についての説明を受けたり、
質問をしたり、お弁当を食べたりしました。
こういうツアーに参加する人たちは、興味が強い人たちなわけで、
数多くの質問が飛び交っていました。
右は黒部ルート参加者に配られた、記念のお水です。
「黒部ルート見学会参加記念」とシールが貼ってあります。

 

この部屋には黒部開発に関係する、色々なものが展示されていました。
左は、当時使用されていた計算機。右は高熱隧道の硫黄の塊です。
また隣の部屋は、中島みゆきが紅白歌合戦に出演した時の控室だったそうで、
その時の写真などが飾られていました。

さあ、次はいよいよ高熱隧道です。

 

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