【2007年8月23日(木)】

富士総合火力演習総合予行

 

富士総合火力演習。毎年陸上自衛隊御殿場で行われる、大人気のイベントです。
普段の生活で、戦車などの実弾射撃を見る機会などそうそうないですが、
この火力演習では、それを思う存分堪能することができます。
今回は本番の火力演習に先駆けて行われる「総合予行」の見学に行ってきました。
チケットに印刷された写真がまた素晴らしく、行く前からワクワクです。

 

開始時刻は10時20分から。しかーし!
御殿場駅からのシャトルバスは、朝の7時から運行開始です。
というのは、早くから行かないと、いい場所がとれないから。
暗いうちから来ている人もいるくらいなのです。
朝家を出ていたんでは、その時間には到底間に合わない。
私は今回、前日から御殿場入りして、民宿に1泊しました。
で、久しぶりにロマンスカーに乗ったのですが、もう50周年ですか。
そのことにもびっくりしました。

 

さて当日の朝、雨の音でがっかりしながら目覚めた私は、
民宿からタクシーで富士学校へ出向きました。
行く途中あちこちに、「富士火力総合演習→」という看板があります。
やはりこのあたりの一大イベントのようで、民宿の女将さんも
タクシーの運転手さんも、当然のように場所や行事はご存じでした。

 

会場の様子です。左写真の人が沢山座っているのがスタンド席。
その手前、シートが敷かれているのがまさにシート席なのです。
雨が結構ひどかったので、スタンド席にしようかなと思ったのですが、
演習場所まで結構距離があるというのと、
目の前に座った家族が傘をさしていて邪魔だったというのもあって、
意を決してシート席最前列に移動しました。

 

シャトルバスが次々と到着する度に席が埋まっていき、
最終的にはシート席もスタンド席もほぼ満席となりました。
ものすごい広さなのですが、そこが埋まってしまうのだからすごい。
一体全部で何万人いたのでしょうか。
みんな雨合羽を着ていたりするので、客席はとてもカラフルでした。

 

さてこの日は、週末の本番の「総合予行」なわけですが、
さらにその予行演習のようなものが朝早くに行われます。
予行演習が終了してすぐはこの写真のように晴れていたのですが、
本番ではかなりガスがかかってしまいました。
その為、かなりの演目での実弾射撃が不可能となったのですが、
予行演習の時には撃てたものもあるので、
それらを織り交ぜてのレポとしたいと思います。

 

火力演習は、大きく前半と後半に分かれます。前半は陸上自衛隊の主要装備品の紹介です。
装備品というのは、要するに戦闘機などの戦力のことで、F-2戦闘機や戦車だけでなく、
パラシュートでの降下やバイクによる偵察なども演目に含まれます。
後半は模擬戦闘。実弾射撃を含んだシミュレーションとなっています。
すべて場内放送による説明が入るので、素人でもわかりやすいものとなっています。

 

まず最初はF-2戦闘機が華々しく登場・・・のはずでしたが、濃霧で飛ばず。
戦闘ヘリの演技から始まりました。
偵察機が1台その他数台のヘリがものすごい音とともに登場。
まるで昔のジェミニのCMのように、2台のヘリが同期された動きで飛び回るのは、
本当に見ていて気持のいいものでした。

 

飛び回るだけではなく、戦闘機なので、当然撃つ!
機関銃のように連射するのですが、ヘリの下あたりから
炎が出ているのがわかりますでしょうか。
結構音がすごくて、広い会場に響き渡ります。
硝煙も見えますね。予告なしに撃つので、結構びっくりします。

 

その後は色々な戦車が次々と登場します。
戦車には緑や赤の旗が掲げられていますが、これは演習のためのもの。
緑の旗の間は撃たず、赤になると撃ちますよーという合図なのです。
この写真ではそれほどピンとこないかもしれませんが、やはり戦車は大きいもの。
これだけの人間が乗っていると思えば、想像できますでしょうか。

 

どんどん登場する様々な車両。車両そのものが撃ったりするものばかりではなく、砲台を運搬したり、人間と銃器を運搬したり、
偵察のためのバイクとライダーを運んだりと、それぞれにきちんと役割があります。
地上は雨のためにぬかるんでいたのですが、どの車両もそれを全く苦にすることなく進めるのは、やはりすごいなと思いました。

 

霧の中に霞む戦車と隊員。
この霧のために結局射撃は行われなかったのですが、
霧の中に戦車が動き回るさまは、それはそれで幻想的なものでした。
実際は濃霧の中でも戦わなければならないこともあるはずですが、
一般人の目の前での演習ですから、危険なことはできません。
観客はみんな残念がっていましたが、まあ仕方がないですね。

 

ものすごい火力機器を構える自衛隊員。
私は兵器などには全く無知なのですが、対人ではないように思います。
当日は射撃は行わなかったのですが、いったいどうやって撃つのでしょうか。
海外などで射撃を経験した人にはわかると思いますが、結構な衝撃ですし、
音もすごいはずです。
常時訓練されているとはいえ、こんなものを撃つなんてすごいものです。

 

戦車が数台登場して、標的に向かって進んでいきます。
途中で停止して、何度か射撃するのですが、その瞬間を撮ろうにも、
タイミングが難しい!
何しろ複数台ですから、どの戦車が発砲するかわからないのですよ。
一体どの車両が発砲するんだ?とドキドキしながら見ていました。

 

発砲直後。硝煙が出ているのが見えます。
まあうまく発砲の瞬間を撮影できたとしても、どうしても伝わらないのが音と衝撃でしょう。
戦車の向きにもよるのですが、とにかく耳をつんざくような爆音とともに、
衝撃波が遅れて伝わってきます。
空気が巨大な壁となって、ばんっ!!と自分に叩きつけられる。のけぞってしまうくらいです。
やはり実弾の音と迫力というのは、ものすごいものです。想像以上です。

 

戦車の近くに黒く見えるのは硝煙です。
風向きによっては、火薬の匂いを感じることがありました。

 

手前で複数の戦車が交互に撃っている間に、
いつの間にか遠くに砲台が現れていました。
あれは何だろう?と思いながら見ていると、

 

ものすごい音と共に、ミサイルが発射されました!
実弾射撃だって生で見るのは初めてな私ですから、
当然ミサイルなんて見たことないです。もう、大興奮!

 

そして火力演習のクライマックスとも言える、全車両の総攻撃です!
連写モードにて撮影したものです。

 

この瞬間は、観客席から歓声があがりました。
いやもう、本当にきれいなんですよ!とにかくきれい。素晴らしい。
今までの悪天候のことなんぞはすっかり忘れて、
この瞬間「やっぱり来てみてよかったあ!」と心の中で叫びました。

 

全車両総攻撃の後、演習に登場した戦車たちが一斉に姿を現します。
この時は自然に観客席から、惜しみない拍手がわきおこり、しばらく続きました。
戦車が一斉に並んだ様子は本当にかっこよく、そして頼もしいのです。
そして隊員さんたちに、普段以上にエールを送りたい気持になります。
そのくらい、素晴らしいものでありました。

 

しかし行くには、それなりの覚悟も必要です。
とにかく人が多いので、トイレは大変です。男子トイレでさえ、この行列。
前半と後半の間の休憩時間、および演習が終了した後は特に混雑します。
それから送迎バスを待つ列もこのとおり。仕方ないので、根気よく待ちましょう。
どうしても待つのがいやならタクシーとなりますが、ただ待っていても来ません。
携帯電話で呼ぶのが一番。タクシーの乗車場所は決まっているのでご注意を。

 

お弁当や飲み物、自衛隊グッズなどを売るお店が出ていますが、
私はこのようなお土産のラインナップに。
弾だの轟だのと当然のように男気に溢れていますが、それでいて愛嬌がありますね。
今回は陸自でしたが、これが海自や空自だとまたいろいろありそうです。

 

今回は天候が悪かったのですが、何となく「コツ」もつかめたように思います。
まずは座る場所ですが、迫力を選ぶのなら当然シート席の前列。
ただし、最前列ではタイガーロープが少々邪魔になります。座ると目の高さにくるのですよ。
戦車が迫ってくる地響きや、爆音の迫力をスタンド席よりも感じることができると思います。
しかしシート席は長く座っているとお尻がかなり痛くなるので、クッションのようなものが必要。
でも雨に備えることを考えると、折りたたみ式の簡単な椅子のようなものでもいいでしょう。
天気が良ければ日焼け止めは必須。また雨ならば雨合羽は必須。
傘は周囲の人に迷惑になるので、やめた方が無難です。
天気によって寒暖が激しいので、カーディガンくらいは持って行った方がいいと思います。
スタンド席は全体が見渡せるし、遠くの着弾点も確実に見ることができるという利点があります。
あとは好みですが、迫力という点で、私はシート席に座ってよかったなと思っています。
*本番の26日(日)はよく晴れて、戦闘ヘリ「アパッチ」なども出たんだとか。よかったですね。

 

生まれてこのかた、飢えとも戦争とも縁のない生活を送ってくることができたわけですが、
世の中そうそう平和ではいられないかもしれません。
現に他国との戦争ではなくとも、内乱などで混沌とした状態におかれている国もあるわけですし、
戦闘ということが対岸の火事ではなくなる可能性というのは、常にあるわけです。

今回実弾を使用しての訓練を見学して思ったのは、「戦場というのは常にこういうものなのか」でした。
鼓膜が破れるかと思うほどの砲撃の音、そして目に見えない空気の塊を叩きつけられたような衝撃波。
テレビで戦闘地の様子などを見ているだけでは絶対にわからない。この訓練を見ただけでも、わからないでしょう。
しかし軍人というのは、常時そういう経験を積んでいるし、いざとなればそういう現場に真っ先に出向く。
これはすごいことです。精神力の弱い私には、絶対に真似はできません。
今回は訓練でしたが、使われている火力機器は確実に殺傷能力のあるもので、実戦に使われるものです。
敵の戦闘能力にもよりますが、自分がその犠牲になる可能性ということも当然あります。
命をかけた仕事というのが比喩ではなく、本当にそういう仕事である自衛隊員に、
心から感謝の意を捧げたいと感じる、貴重な一日であったと思います。

 

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火力演習に関する資料もたくさんありますよ。

 

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