【2005年7月9日(土)〜10日(日)】
湯でたこ、大井川アプトラインに乗る
みなさんは大井川鉄道をご存知ですか? 現在でもSLが運行されており、鉄道ファンだけでなく全国から多くの人が訪れます。 特に夏休みには家族連れで賑わいます。 金谷から千頭までを結ぶ1時間あまりの汽車の旅。 左は千頭駅に到着したSLの勇姿です。 |
そして千頭駅からは大井川鉄道のもう1つの路線、「南アルプスあぷとライン」が出ています。 通称「井川線」。 これは井川ダムを建設するにあたりひかれたインフラで、最初は資材の運搬に利用されていました。 つまり、立山黒部アルペンルートと同じなのです。ダムの建設って、本当に大変なのですね。 現在はもっぱら観光用列車として活躍しており、車窓からは素晴らしい渓谷美を眺めながら 短時間とはいえ、とても楽しいひと時を過ごすことが出来ます。 以前もこの路線には乗ったことがあるのですが、数年ぶりに乗ってみることにしました。 |
始発の千頭駅周辺には、駐車スペースがありませんので 湯でたこは「奥泉駅」からの乗車。前回もここから乗った覚えが。 線路とほぼ高さの変わらない低いホームで待っていると、時間通りに電車がやってきました。 いつもながら電車がホームに近づいてくる時間というのは、わくわくするものです。 |
あぷとラインの大きな特徴は、途中の急勾配でアプト式に切り替えること。 アプト式というのは山岳国家スイスで生まれた方式で 線路に歯車を着け、その噛みあわせを利用して急勾配を登ったり下ったりするもの。 車体にもマークとして描かれています。 井川線は1000分の90(1000m進むと90m登るということ)の急勾配区間をこのアプト式で進みます。 |
車内の様子。全部このようなボックス席になっています。 窓を開けると初夏の風が心地よい。目に見えるのは木々の緑。 車体は古くても、なんだかとても落ち着く空間です。 |
さて、発進! このような森や渓谷の中を走っていくのですよ。いいでしょう? 観光列車らしく、車掌さんが周囲の景色のみどころやポイントをマイクで説明してくれます。 開け放った窓から入る風はヒンヤリとして、ぎらぎらした日差しを忘れてしまうくらいです。 |
素晴らしい景色 | ダムの放水 | 水をたたえたダム | 見てください、この高さ!本当に怖かった! |
千頭〜井川間はいくつか駅がありますが、アプト式を利用するのはそのうち1区間だけ。 「長島ダム駅」と「アプトいちしろ駅」間のみです。 そのためアプト列車との連結作業を、これらの駅で間近で見ることが出来ます。 連結作業が始まると、乗客がみんなぞろぞろと降りてきてしまうのも、この路線ならでは。 |
そしていよいよ急勾配へ。 | このような景色の中を走ります。 | カーブは特に車体が 美しく見えます。 |
保線作業の人のための 1人用ケーブルです。 |
そして終点「井川駅」です。 現代の秘境とも言える場所を走る井川線。中には周囲に民家も道路もない駅もあるような路線です。 SLの大井川鉄道にしても、周囲は茶畑が広がる、ひたすらのどかな光景ばかりです。 そんな大井川鉄道の何が私達をこんなに惹きつけるのでしょうか。 言葉で言い表すのは難しい。でも、乗ってみればわかります。わかるはずです。 そして、いつまでもこの路線がこのままで残ってくれることを、誰もが望んでくれることだろうと思います。 |
湯でたこ、静岡おでんに舌鼓
静岡の人はおでんが大好きなのだそうです。 おでんというと、どうしても思い出すのは赤提灯。一杯やりながら肴としておでん、というイメージですが 静岡の人にとっては、おでんはもっと日常に根付いた食べ物なのです。 おでんに限らず、私達は食べ物を関東風と関西風に分けたがりますが 静岡のおでんはそのどちらでもなく、やはり「静岡おでん」なのです。 |
それだけおでんが日常に根付いているわけですから このようなおでんの専門街もあったりします。 これは静岡駅の近く、静岡市役所から伸びている大通りにあります。 これ、全部飲み屋ではなくおでん屋ですよ! ここを見るだけでも、静岡の人にとっておでんがどのような存在なのか わかるというものです。 |
大きな通りに見えますが、実際の奥行きはそれ程でもありません。 しかし右も左も全ておでん屋。 夕方5時ともなれば、お店が開きはじめます。 のれんを出している1軒のお店に、お邪魔しました。 早い時間だったので、他のお客さんはまだ誰も居ませんでした。 |
カウンターだけの小さなお店。この通りはどこもそのくらいの店構えです。 カウンターにはおでん鍋が置かれていて、ふつふつと沢山のおでんが煮えている。 面白いのは、全てが串刺しとなっていること。 これはお客さんが自分で好きな具をとることができるようにとの配慮でして セルフサービスに近いです。気楽でいいですね〜。 中には女将さんが色々と具を選んで1皿いくらというお店もあるようですが 私は自分で取れたほうがいいなあ。やっぱり好みもありますしね。 |
おつゆは真っ黒で、大層濃そうに見えますが、食べてみると以外にもさっぱり味。 鰹節や青海苔の混ざった「出し粉」を好みでかけていただきます。 大根やたまごなどのスタンダードな具だけでなく、静岡特有の黒はんぺんも。 牛すじも入っており、関東と関西の融合した、静岡ならではのおでんとなっています。 気楽に入れて、少しだけ食べるのもOK。しかも安いし美味しい。 私の住んでいるあたりでも、こんな気楽なお店があればいいのに、と思いました。 |
大人向けのおでんのお店はこんな感じですが、子供達はおでんを駄菓子屋で食べます。 駄菓子屋にもこのようにいつでもおでんが煮えていて、子供達は自分の懐具合と相談しながら自分で串をとって食べるのです。 おでんは高級店へ行けば、それなりの値段がするものです。でもおでんって、本来そんなに高価なものなのでしょうか? 子供達が自分のお小遣いで買い食いできたり、風呂屋の帰りにちょっと食べたり。 私が子供の頃は、おでんはそのような位置づけでした。昔は私もプールの帰りに、屋台のおでんを買ったりしたものです。 確かに高級店のおでんは、高級な味がします。 でも、私は駄菓子屋の店先で子供達が自由になる金額で買える、そんなおでんのほうに親しみをおぼえます。 庶民の味として愛されている静岡おでんは、子供時代の郷愁を感じさせてくれるものでもありました。 |