なんと温泉ナシ!の東海地方観光旅行(ややディープ)その2
世界に誇る「喫茶マウンテン」、改装前の最後の登山
たびたび湯でたこ観光局にも登場している名古屋のカリスマ喫茶「マウンテン」ですが、 このたび改装をするということになったそうです。 11月5日から、来春あたりまで。再開日は未定だそうです。 古い趣きある(?)建物で、甘口スパを食べられる最後の機会。 行ってきましたよ、名古屋まで。 混んでいたなー、マウンテン。やはり一時的にでも閉店となると、 みんなどっと押し寄せるようで。 |
思い切りピンボケしているけど、休業のお知らせです。 確かに建物は古かったし、改装もいいかもしれませんね。 マウンテンはテーブルがかなり狭いのが特徴だったのですが、 新しい建物になった暁には、この点は改善されるのでしょうか。 どのような建物になるのか、今から楽しみであります。 |
甘口スパはいくつか食していますが、キウイスパとメロンスパはまだでした。 難関とも言われるメロンスパを注文。しばし待つと、湯気のたったメロンスパ。 わ〜いと記念撮影なぞをしていると、隣の席の女性が「あの、すみません、すみません!」と こちらに声をかけているのに気づく。え?とそちらを向くと、 「あの・・・それ、何ですか?」「あ、これはメロンスパゲティです」 「上に乗っている白いのは、何ですか?」「生クリームですよ」 「・・・・・甘いんですか?」「ええ、甘いです。メロンの味がするんですよー」 その後、別の席にチョコバナナスパが運ばれてきました。 その女性は、私のメロンスパだけでなく、チョコバナナスパにも食い入るような視線w おそらく彼女の中の常識というものが、がらがらと音をたてて崩れた瞬間だったのでしょうね。 単なる思い出登山というだけでなく、彼女のおかげでとても楽しい時間となりました。 また来春になったら来てみるつもりですが、メニューはどうなっているのかなー。 楽しみなような、怖いような・・・。 |
シュールなペンキ絵に激しい衝撃、名古屋の銭湯
今回の旅行の目的の1つに、東海地方の銭湯に入るというのがありました。 ツチノコハンターさんの「ハンター温泉」や「愛知県漂流」を見て、 どうしても経験してみたくなった、東海地方の銭湯。 しかし銭湯は夕方にならないと営業しないので、温泉めぐりよりも困難でした。 今回は名古屋の某銭湯1軒のみの訪問となりましたが、これが大当たりでした。 |
名古屋市内ですが、とても静かな環境の住宅地の一角。 とても古く趣のある建築物で、建物だけでも価値がありそう。 中に入ると、東海地方によくあるタイプのロッカーや、 昔ながらの脱衣篭などが迎えてくれます。 |
浴室は小ぶりなもので、奥に小さめの浴槽が2つ。片方はバスクリン入り。 手前に丸い浴槽が1つ。カランは壁際に5つ並んでいました。 訪問した時間、カランよりもお客さんの数のほうが多かったためか、 丸い浴槽からお湯を汲んで掛け湯をする人もいました。 この丸い浴槽は結構熱めだったので、みんなもっぱら奥の浴槽に入っていました。 |
さて銭湯といえば、ペンキ絵です。ここのペンキ絵はすごいですよ。 何気なく壁を見上げると、そこにはこのような絵が。 この大きさでは、なんだかわかりませんね。 拡大してみましょう。 |
拡大すると、このようになります。 なんかもう、目が離せないシュールさ。見た途端に、釘付けです。 拙いタッチに見えますが、子供が描いたものには見えません。 おそらく大人でしょうが、美術館系の学生さんなんかでしょうか? この銭湯の経営者がどのように感じているのかが不明なのですが、 普通のペンキ絵を見慣れた身としては、かなり新鮮でもありましたし、 インパクトも今までの中で一番強かったです。 このペンキ絵を見ていて思ったのですが、美大の生徒さんなどに、 描いてもらうのもいいのかもしれませんね。 あまり妙なもの描かれても困るので、あらかじめ下絵を銭湯に出して、 OKが出たら一日で描く、と。 色々な絵があっても、いいと思うんですよ。 「あそこの今年の絵は、なかなかいいよ」なんて、みんなが見にくれば 一石二鳥ではないかと思います。 |
***後日入った情報*** |
えー、この銭湯のペンキ絵は美大の学生さんが描いたのではないそうです。 これはさま〜ずが「ゲリラッパ!」という番組(ローカルらしい)の中の企画で描いたとのこと。 う〜ん、そう言われてよく見ると、雲に乗っているのは大竹?! 偶然ここの銭湯に入ったのですが、いいもの見られてよかったと思いました。 ちなみに、絵があるのは男湯だけとなります。 |
伊勢のおかげ横丁にて、伊勢うどんとできたての赤福を
お伊勢参りというのは、金毘羅参りと同じく、江戸の庶民の夢でありました。 無尽のようなシステムをつくり、仲間内で順番にお参りしたりしたのだとか。 今でこそ電車や飛行機がありますが、昔は当然ながら歩いていきました。 長い時間をかけた旅の途中もまた楽しく、庶民の一大レジャーのような要素も お伊勢さま参りは持っていたのです。 |
お伊勢さまと一口に言っても、それはそれは大きなものです。 以前一度だけ内宮や外宮をまわったことがありましたが、 かなり疲れてしまったのを覚えています。 今回は時間もないので、すぐ近くの「おかげ横丁」だけに寄りました。 おかげ横丁とは、伊勢の代表的な建築物を移築して、 お土産屋さんや食事処を連ねた観光地です。 見て歩くだけでも楽しい場所で、おすすめです。 |
銀行もこんな建物 |
以前は平日に行ったためか、それほどの混雑ではなかったのですが、 今回はたまたま日曜日だったので、とにかく混んでいました。 さすがお伊勢様!と唸るほどの集客力。 まあお伊勢様にお参りに来た人も、帰りに必ず寄るでしょうし。 なにしろお伊勢様ですからね、無理もないかも。 |
伊勢のお土産と言えば、やはりなんと言っても赤福ですね。 おかげ横丁には、赤福の本店があります。 ここは赤福を普通に売っているだけではなく、 毎月1日には朔日餅というのを売っていたり、 夏場にはあかふく氷やあかふくぜんざいがあったり、 赤福以外にも色々な商品を扱っています。 |
本店では年間通して、出来立ての赤福をお茶と一緒に頂くことが出来ます。 入り口で食券を買って、中の座敷へ。 いやー、イモ洗いでびっくりでした。休日ともなると、混みますねー。 でも座敷で自由に座れるので、余程のことがなければちゃんと場所にはありつけます。 座って待っていると、店員さんが赤福とお茶を持ってきてくれます。 |
お皿も黒いのでよくわかりませんが、赤福が3つ乗っています。 これとお茶で280円也。 赤福はお土産で何度も食べたことはありますが、 やはり出来たては柔らかさが違いますね。 熱いお茶と一緒に、大変美味しくいただきました。 |
みんなが赤福をいただいている座敷の横では、 このように店員さんが赤福を1つ1つ作っているのを見ることが出来ます。 この様子を見ていると、なぜ赤福があの形なのかがわかりますよ。 出来たては本当に美味しいですから、お伊勢様に寄った際には、 是非ともここで食べてみることをおすすめします。 |
赤福とともに、もう1つの目的だった伊勢うどん。 どこもとても混雑していて、ようやく1軒入れる店を見つけました。 テレビなどで見たとおり、とても太くてコシの強いうどんです。 かけてあるお出汁は色も濃くて、味も大層濃そうに見えますが、 これが食べてみると丁度いい味なのであります。 量的にも丁度良くて、雰囲気にも味にも満足したおかげ横丁でした。 |
真珠王の故郷を訪ねて
私の使っているカーナビは、県境を越えて新しい県に入るたびに、 その県の名物を表した絵が表示されます。 北海道なら時計台、長野なら雷鳥、愛知ならシャチホコという具合です。 では三重は何かというと、海女と真珠なのです。 三重の鳥羽と言えば、真珠王・御木本幸吉の故郷であり、 世界で初めて真珠の養殖に成功した場所でもあります。 全世界の真珠の運命を変えたミキモト。 その真珠の養殖の全てがわかる、ミキモト真珠島へ行ってきました。 |
真珠島では一日に何度か海女の素潜り実演があります。 島に入った途端、「そろそろ始まります」のアナウンスが。 さっそく島のはずれにある、海女スタンドと呼ばれる場所に向かいました。 ここで待っていると、海女さんを乗せた船が近づいてきて、 実演を見せてくれるのです。 |
こんな感じの船に、海女さんが3人乗ってきました。 トレードマークの白い磯着を着て、丸い木桶を携えています。 この白い磯着は魔よけの意味があったそうで、 海女の仕事というのがいかに大変なものであったかを思わせます。 |
よくテレビで見るダイビングのように、やはり背中から海に落ちるようです。 湯でたこはダイビングのようなものには全く知識がないのですが、 きっと背中から入るというのは、大きな意味があるんでしょうね。 海女の体と桶とは紐で結わいつけられており、 その桶の浮かんでいる真下あたりに潜っていくようです。 |
海女は平均で1分くらい、海中に潜って作業したそうです。 海から上がってきて呼吸を整えるとき、口笛のような音がする。 これを磯笛といいます。 私は呼吸を整えるためにわざわざ口笛を吹くのだと思っていたのですが、 息が荒くなるので、自然に音が出てしまうのだとか。 現在はこの真珠島での実演のみとなってしまった真珠採りの海女ですが、 昔はアコヤガイを採るのも戻すのも、赤潮などで非難させるのも、 みんな海女の役割でした。 世界に名を馳せるミキモト真珠の影の立役者だったわけで、 昔の鳥羽の海で活躍した海女さんたちに、惜しみない拍手を贈りたいです。 |
海女スタンドのすぐ近くにある、真珠博物館。とても大きくて立派な建物です。 ここでは真珠がどうやってできるのか、どうやって養殖しているのか、 製品として世に出すまでにはどのような工程が必要か、などなど ミキモトの真珠に関することが細かに展示されています。 |
真珠といえばアコヤガイですが、その他にもいろいろあって、 日本では生息できない南洋の貝での真珠養殖にも成功しています。 実際にアコヤガイに核と呼ばれる真珠の素を埋め込んで、 海でどうやって育てるのか、などが図解されており、 全く知識のない人にも、簡単にわかるようになっています。 アサリなどの貝で真珠を作ってみたりした展示などもあります。 小学生の夏休みの自由研究にも、ここは大いに活用されているようです。 |
ネックレスなどの真珠製品を作るには、かなりの人の手が必要。 1つ1つ人の目で真珠の優劣を確認し、色別に選別していく。 もうね、考えただけで肩が凝りそう&目が疲れそうな作業なのですが、 そういう疲れる工程を経て、あの美しい装飾品が完成しているのですね。 このコーナーは見学用とはいえ、真珠がものすごく沢山輝いており、 とてもまばゆい見学コースでした。 |
御木本幸吉の生涯についての展示は、別の建物にあります。 博物館の裏手にある、「御木本幸吉記念館」です。 平屋建ての質素な感じの外観で、博物館などに比べると 目立たないようにひっそりと建っています。 |
幸吉の生家のうどん屋の厨房の様子から、 幸吉が真珠養殖に手を染めるまでの様子。 そして真珠の養殖を思い立ち、度重なる失敗にめげることなく、 妻と2人で世界で初めての真珠養殖に成功します。 そういったエピソードが、可愛らしい挿絵とともに、 パネルと写真で展示されています。 |
妻に早く先立たれてからも真珠一筋に打ち込み、 やがて世界で初めて真珠の養殖を完全に成功させます。 その不屈の精神、仕事への情熱、そして自分への自信。 「必ず成功する」と信じて、真珠に全てを捧げた御木本幸吉の人生には、 とても心を打たれました。 ここには静かな感動があります。 本当にこの人は「世界のミキモト」なんだなと、しみじみ感じ入りました。 |
記念館の向かいの海には、小さないかだが浮かんでいました。 この鳥羽の海で昔、幸吉と妻が初めて半球の真珠を作ったのです。 アコヤガイの中に白く輝く塊を見つけたときの喜びは、どんなものだったのでしょうか。 きっとその後に球形の真珠の養殖に成功した時よりも、 最初に出来た真珠を見つけた時のほうが、喜びは大きかったに違いありません。 真珠王の故郷の海辺には、今でも多くの人が訪れています。 そして記念館を訪れた人たちは皆、美しく輝く真珠を見るたびに、 真珠に生涯を捧げた「世界のミキモト」のことを思い出すことでしょう。 |